アイスランドの移民問題に関するOECDの評価

過去 10 年間で、OECD 諸国の中でアイスランドの移民数の割合が最も増加しました。雇用率は非常に高いものの、移民の失業率の上昇は懸念材料です。移民の受け入れをもっと優先課題にする必要があります。

アイスランドの移民問題に関するOECD（欧州経済協力開発機構）の評価が、 9月4日にキャルヴァルスタジルで行われた記者会見で発表されました。記者会見の録画は、Vísir通信社のウェブサイトでご覧いただけます。記者会見のスライドは、こちらでご覧いただけます。

OECDの評価では、アイスランドの移民に関する興味深い事実がいくつか指摘されています。これには次のものが含まれます。

• 過去10年間で、OECD諸国の中でアイスランドの移民数の割合が最も増加しました。
• アイスランドの移民は他の国々の状況と比較すると比較的均質なグループであり、その約80%は欧州経済領域（EEA）から来ています。
• EEA 諸国からアイスランドに移住する人の割合は、他の多くの西ヨーロッパ諸国よりも高いようです。
• 移民分野における政府の政策と行動は、これまで主に難民に焦点を当ててきた。
• アイスランドの移民の雇用率はOECD諸国の中で最も高く、アイスランドの原住民の雇用率よりも高くなっています。
• アイスランドの移民の労働力参加率は、EEA諸国出身かどうかによって若干の違いがある。しかし、移民の失業率の上昇は懸念材料である。
• 移民のスキルや能力は十分に活用されていないことが多い。アイスランドでは、高学歴の移民の3分の1以上が、自分のスキルよりも要求されるスキルの少ない仕事に就いている。
• 移民の言語能力は国際的に見て劣っており、この国ではその分野について十分な知識を持っていると主張する人の割合がOECD諸国の中で最も低い。
• 成人向けアイスランド語教育にかかる支出は、比較対象となる国々に比べてかなり低くなっています。
• アイスランドで仕事を見つけるのに苦労した移民のほぼ半数が、アイスランド語のスキル不足を主な理由として挙げている。
• アイスランド語の優れたスキルと、教育と経験に見合った労働市場における雇用機会との間には強い相関関係があります。
• アイスランドで生まれ、両親が外国出身の子どもたちの学業成績は懸念材料だ。PISA調査では、彼らの半数以上が成績不振に陥っている。
• 移民の子どもたちは、言語能力の体系的かつ一貫した評価に基づいた学校でのアイスランド語によるサポートを必要としています。現在アイスランドにはそのような評価は存在しません。

OECD は是正措置に関する数多くの勧告を出しています。その一部はここでご覧いただけます。

• アイスランドの移民の大多数はEEA地域からの移民であるため、彼らにもっと注意を払う必要がある。
• 移民の受け入れを議題の上位に置く必要がある。
• アイスランドの移民に関するデータ収集を改善し、彼らの状況をより適切に評価できるようにする必要がある。
• アイスランド語の教育の質を向上させ、その範囲を拡大する必要がある。
• 移民の教育とスキルは労働市場でより有効に活用されなければなりません。
• 移民に対する差別に対処する必要がある。
• 移民の子供たちの言語能力の体系的な評価を実施する必要がある。

完全なレポートはここからご覧いただけます。

社会労働省がOECDにアイスランドの移民問題の現状の分析と評価を依頼したのは2022年12月のことだった。アイスランドに関してOECDがこのような分析を行うのは初めてだ。

この分析はアイスランド初の包括的移民政策の策定を支援するために設計された。OECDとの協力は政策策定の大きな要因となった。

グズムンドゥル・インギ・グズブランドソン社会労働大臣は、アイスランドが移民に関する初の包括的政策に取り組んでいる今、「この問題にOECDの目が向けられることは重要かつ価値がある」と語る。大臣は、この独立評価はOECDがこの分野で豊富な経験を持つため、同機関が実施すべきだと強調した。大臣は「この問題を世界的な文脈で見ることが急務」であり、評価は有益だろうと語る。

OECD レポートの全文は、こちらからご覧いただけます。

アイスランドにおける移民とその子供たちのスキルと労働市場への統合